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2016年9月30日金曜日

噂の?マーゲイトに行ってきた

2016年春夏旅行記第3弾は、マーゲイトへの日帰り旅行です。

もう全然嬉しくもなんともない誕生日ですが、まあ夏だし、休みを取ってどっか出かけるにはいいきっかけということで、今、巷で(どこの巷かわからんけど)何かとこの地名を耳にすることが多くなってきていたケント州のマーゲイトMargateに日帰りで行ってきました。ケント州は、日本で言ったら千葉県みたいな感じでしょうか。そういえばケント州出身のベンの友達ピートは、千葉県出身って言われても納得するような雰囲気があるわ……。何はともあれ、マーゲイトはつい最近まで全然知らなかった町ですが、友達から「最近マーゲイトに行って来て…」という話を聞いたり、今度マーゲイトに行くんだと言うと「あーマーゲイト、いいよねー」と言われたりすることが何度かあり、よく知らないけど期待は高まるばかり。海辺の町っていうだけでちょっとワクワクするものがありますしね。というわけで、張り切ってアド街っく天国に出かけたのです。

ロンドンのセント・パンクラス駅から電車で1時間半〜2時間。グレートブリテン島の南東の端っこ、カンタベリーとかドーバーに近い場所です。このところずっとお天気がよかったのに、なぜかこの日に限って雨の予報、しかもけっこう激しく降りそうな感じで意気を削がれましたが、とりあえずマーゲイトに到着したお昼の時点で空はどんよりと灰色の雲に覆われながらも、雨は降っていませんでした。しかし駅に着いた途端に異臭が鼻を突き、これが延々と街中まで漂っている。どうやら海岸付近の腐った海草の臭いが海風にのって街全体に広がっていたようなんだけど、やーーー臭いのなんのって。そして駅の近くにそびえ立つこのビルが何か異様な雰囲気を放っている。ほんとにここは最近注目のヒップなおしゃれタウンなのか!?

そんな懸念を抱きながらも、街の中心地に向かって歩を進めると、マーゲイトの象徴?でもある遊園地「Dreamland」および、さびれた海辺の観光地にありがちなゲーセンやアイスクリーム屋、ウェザースプーン系パブ*、フィッシュ&チップス屋、おみやげ屋などが軒を並べる通りに出た。この寂寥感なつかしー。デヴォンにいた時によく見たわー。
*英国全土にフランチャイズ展開するパブ。最近ロンドンではビール1パイント£4〜5は下らないが、ウェザースプーン系のパブなら平均£2.5〜3.5と、とにかく安いのが特徴。

今はなきWOOLWORTHSの残骸がいまだこのように見られるのもマーゲイトならでは
しかしこの通りを抜けると、ユニークなショップやカフェなどがちらほら目につき始め、徐々に噂のマーゲイトの中心へ。お腹がすいたのでまずはランチしようということになり、近くにあったGreedy Cowというカフェに入ってみました。ベンはチーズトーストサンド、私はなんとなく気が向いてビーフバーガーをオーダー。そしたらこれが大当たり!ここ何年かで食べた中で一番のバーガーでした。こっちのグルメバーガーって、素材重視で素朴なのはいいけどちょっとボソボソっとしていたり、イマイチ味が物足りなかったりすることが多いのですが、ここのバーガーはかなり好みのテクスチャー&ソース。チーズもバンズも、そしてビートルートも効いてておいし〜♥
付け合わせのコールスローもうまかった
ランチの後は街を散策。私たちはどこへ出かけても見る店はいつも同じ:古本屋、レコード屋、チャリティショップ、ヴィンテージショップ。そしてマーゲイトはこれらの宝庫、というと大袈裟だけど、レコード屋以外はけっこう充実していて、結局全部見切れませんでした。事前にベンが下調べしていたTransmissionというレコード屋にも足を運んでみました。ここは以前ロンドンのラフトレードで働いていた人が今年オープンした店らしく、特にカルト映画のサウンドトラックや日本盤のレコード、日本のアニメや古いドラマなどのレコードが充実、懐かしアニメのフィギュアやオモチャなんかも置いています。日本人の私から見ると「これはディスクユニオンのセールラックで仕入れたんでは……」「中野ブロードウェイから仕入れたんでは……」なんて思っちゃうものがいっぱいだったけど、こっちの人にとっては、きっとかなりユニークでレアなコレクションに違いない。カルト映画ファンのベンも、サウンドトラックを中心に見るものがいっぱい。いわく、値段も平均と比べてかなりリーズナブルとのこと。おそらく昔のツテから在庫処分的なシロモノを入手できて、たくさん蓄えているのでは、と。

ところでこのTransmissionが位置しているNorthdown Roadという通りは、ヴィンテージショップなどが集まっている中心地から少しだけ外れているのですが、ここがかなり未開発の通りで、あからさまに突然雰囲気がガラッと異なる。怪しいカルト宗教だか何かの広告が貼り巡らされているよろず屋みたいな店とか、営業しているのかしていないのかよくわからない店とか、とにかく終わってる感がハンパない店が並んでいて、ガラのあまりよろしくなさそうなジャージ姿の人とすれ違ったりする。そんな中、ベンが「わあ、プライベートショップだ。いまだに見るなんて」と言うので何かと思ったら、確かに店頭にそっけなく「Private Shop」とだけ書いてあるけれど中が全然見えなくなっているお店がある。実はこれ、いやらしい中年男性(若者もいるのかもだけど)がこっそり足を運ぶアダルトショップなんだそう。昔はあちこちにあったらしいけど、今では滅多に見かけないそうで、私も初めて見ました、プライベートショップ。日本でいうと田舎の街道なんかでいまだに時々見かける「大人のオモチャ」とか書いてあるお店のようなもんかね(それよりずっと控えめだけど)。とまあ、そんなお店さえも残っているようなこのNorthdown Roadにあるレコード屋さん、きっと家賃が安かったに違いない。とはいえ、今どきのポッシュなオーガニックっぽいカフェだかベーカリーも1軒あったし(おそらく最近できたのでしょう)、これからどんどん新しい店に入れ替わって、次に訪れる時にはまた全然雰囲気が変わってるかもしれないですね。

古びた店舗の窓越しに、こんなきれいな妖精のような猫ちゃんを見つけました
レコード屋の後は、そこからそう遠くない場所にあるマーゲイト名物のシェル・グロットへ。シェル・グロットとはなんぞやというと、簡単にいえば、無数の貝殻で埋め尽くされたミステリアスな地下洞窟(および史料館)です。何がミステリアスなのかというと、この洞窟は1835年に界隈で作業していた親子によって発見されたらしいのですが、誰がいつどんな目的でこれをつくり上げたのかは、いまだに不明なのだそう。洞窟の長さは21mほどとそれほど長くないのですが、総面積190平方メートルにも上る壁や天井が、なんと約460万個もの貝殻を用いたモザイクで覆われていて圧巻。いつの時代につくられたのか、全く手がかりなしというのも不思議というか、ベンの言葉を借りれば「なんだかすべてでっち上げのような気も」しないでもないけれど(笑)、それにしたってこれだけのものを作り上げるには相当の時間と労力が必要なはずなので、やはり溜息ものではあります。



この施設の前オーナーが、マーゲイトの海岸で拾った貝殻を使って作ったという50センチ〜1メートル四方ぐらいのモザイクアートが飾られていたんだけど、たったこれだけの大きさの貝殻モザイクを作るのに、まず貝殻を集めるのに何ヵ月もかかり、制作にさらに何ヵ月だか1年だか(正確な作業所要時間を忘れてしまいました!とにかく長い時間)かかっていて、そう思うとこの洞窟アートにどのくらいの人数が関わって、どのぐらいの期間を要したのか……考えるとちょっと気が遠くなります。

この後は街の中心地に戻って、閉店時間までチャリティショップなどをチェック。その間についにザーッとお湿りがあり、ショップの店員さんも「今日は雨の予報だったのになかなか降らないから、今か今かと思っていたけど、ついにきたわね」なんて言っていたんだけど、この雨も幸い長く続かず、私たちも濡れずに済みました。その後、喉の渇きを潤すべくパブでとりあえず一杯やってから駅の方へ戻り、やはりマーゲイトに来たからには覗いておきたいDreamlandへ。このマーゲイト名物のすてきな名前の遊園地は入場無料で、乗り物ごとに料金を払うシステム。浅草の花やしきを思わせる(それよりもショボイ&小さい)遊園地、覗いてみたらだんだん何か1つぐらい乗り物を試したいという気分になってきて、観覧車にでも乗ろうという話になったんだけど、いざチケットを買おうとしたら、なんと屋外エリアはまもなく閉園、その日のチケットの販売は終了とのことで、結局乗れませんでした。ガッカリ。


屋内のゲーセンなどはまだ開いていたので、こちらもついでに覗いてみると、「ローラーディスコ」というローラースケート場(のディスコ)が。これ欧米では80年代に流行ったっていうんだけど、日本にもこんなのあった?
時間があったら私もチャレンジしたかった!
消化不良のままDreamlandを後にし、帰りの電車まであと1時間半ほどというところで、Masala Gateというインド料理店にてディナー。うん、普通に美味しかったです。イギリスではよっぽど見るからに怪しい店じゃない限り、インド料理はあまりハズレなしですな。

というわけでマーゲイト、満喫しました! お天気もギリギリ持ったし。おしゃれでレトロな雰囲気と、Northdown Roadに代表されるような古い発展途上の町並み、そしてさびれた海辺の町にありがちな、やさぐれた終末感漂う雰囲気が入り交じっているのがマーゲイトの魅力だと思いました。そういえば写真撮らなかったけど、住宅街を歩いていたら、小さな緑地にナゾの掲示板?だか相談箱のようなものが設けられていて、「怒りや不満がある人は、紙に書いてここに投書してください。相談や解決などは大方できませんが、ひとまず私たちは耳を傾け、それについて考え、話し合います」みたいなことが書いてあり、カルト宗教かやや狂信的なコミュニティみたいな絵が脳裏に浮かんで、モヤモヤっと歯がゆい、そしてちょっぴり薄気味悪いフィーリングをもよおしました。「私たち」とは一体誰なのか!? そんなところもマーゲイトらしいという感じがします。また行きたいですね。今度こそはDreamlandで観覧車に乗りたいです。
Love Laneという可愛らしい名前の通りがあったので、記念に一枚。
しかしなかなかうまく撮れないでいるベンに向かって
「タテ位置で撮ったら?」と提言している渋い顔の私。
マーゲイトにはターナー・コンテンポラリーという、
英国で最も愛される画家、ターナーにちなんだ
大きなアートギャラリーがあります。画家のターナーは
生前、愛人に会うべくマーゲイトをよく訪れていたそうで、
この貝のモチーフでつくられた女性像は、ターナーの愛人の像だそうです。
この像が立つハーバーで逢い引きしていたらしいですよ。
帰る前に見たサンセットもきれいでした
お店情報
The Greedy Cow (カフェ)
Transmission(レコード&アート)
Shell Grotto(地下洞窟&史料館)
Dreamland(遊園地)
Masala Gate(インド料理)


■today's disc:Dreamland/B-52's
Dreamlandって曲なかったかな〜と検索したけど、コレというのが見つかりませんでした。B-52’sのこの曲も、個人的にはほとんど聴いていない90年代のアルバムからの曲でいまひとつな感じです。ちなみにSkull TennisにもDreamlandという曲がありますのでよかったら♥

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