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2015年1月21日水曜日

SE4REAL!

ライブ告知です。
こちら本日! SE4REALが愛するローカルパブ、Montague Armsにて。
私のバンドはPAMsですが、全バンドお見逃しなく! 8時ごろからスタート予定です。




そしてこちらは来週水曜(28日)、みんなが愛するイーストロンドンのヴェニュー、Power Lunchesにて。



PAMsは2012年に、デンマークはコペンハーゲンでSock PuppetsというバンドをやっていたMads&Louiseと、ロンドンでThe Give It Upsというバンドをやっていたベンが、当時東京に住んでいた私のところに遊びにきた時に(仮)結成したバンドです。その時は全員違う国に住んでいたので大して活動らしいことはできなかったんだけど、2013年アタマにMadsとLouiseがロンドンに移り住み、そして春に私がロンドンに渡って、気づけば全員同じストリートに住んでいた!という奇跡が起こり(笑)ついに活動を開始しました。

とはいえ当時私はVISAの関係で最長半年しかイギリスにいることができなかったので、初めてライブをしてから2ヵ月ぐらいで「もう帰らなくちゃ〜(泣)」ということになり、ここでいったんPAMs phase♯1を終了。その後、2014年夏に私がロンドンに戻ってきてphase♯2を開始、そして10月にはMadsが始めていた別のバンドFlemmingsとともに初のUKツアー!(といってもロンドン、オックスフォード、ノッティンガム、ブライトン、ケンブリッジという極めてイースト・アングリア地方に偏ったツアーだけど)。Flemmingsのメンバーもみんなローカルエリア(南東ロンドン、SE4)に住んでいるため(うちは実はSE14なんですけど)、SE4REALというローカル・シーン的なスローガンはそこからきています。

で、実はこの1月いっぱいで今度はMadsとLouiseがしばらくコペンハーゲンに帰らなくてはならなくなり(涙)、PAMs phase♯2もこれで終了。このバンドでのライブもしばらくお休みなので、ロンドンにいる方はぜひぜひお気軽に遊びにきてください!

2015年1月19日月曜日

ウェールズのクリスマスの想い出(その7)

長々と書き綴ってきたこのパーソナルなクリスマスの想い出話も、今日でついに最後です。気づけばもう1月も後半だしね……いやはや。

というわけで遡りまして、年の瀬も押し詰まった29日。朝起きて窓の外を見ると、あたり一面、霜と霧で真っ白。庭の向こうに見える湾もすっぽりと霧に覆われて、湾そのものが消えてしまったかのよう。

これが通常の眺め

こちらはこの日の朝の様子。真っ白で何も見えず
気温を見るとマイナス0.8℃。Pembrokeshireは通常、ロンドンより少し暖かいらしいので、ロンドンは今頃もっと寒いのかも。そう思いながら朝ご飯を食べていると、次第に日が射してきた。でも霧はそのままで水面は全く見えず、なんだかマジカル。すごくきれい。

ところでクリスマスの時のターキーですが、もちろん全部は食べきれず、残りはどうするのかと思っていたら、スープにするんだそうです。ベンもかつて肉を食べていた頃はこれが大好きだったというんだけど、話を聞いただけだとあまり美味しそうな感じがしなかったし、実際スープを作っている時の匂いもとても肉肉しくて、ちょっと苦手かもという気さえしていた。でも、せっかくなのでちょっと味見させてもらうと……あらっほんと、けっこう美味しい!
何で味付けているのか聞くのを忘れたけど、ウースターシャーソースとか
お醤油とかを使っているような味。胡椒がぴりっときいててウマい

さて最終日はかねてから行きたかった、ラーンにあるディラン・トマスのボートハウス・ミュージアムへ。ディラン・トマス(1914-1953年)はウェールズ出身の早世の詩人・作家で、以前一度ラーンに来た時に、タフ川を見下ろすように突き出した彼の仕事部屋だったという小屋は外から覗いたんだけど(この小屋は彼の死後からほぼそのままの状態で保存されているらしい)、ミュージアムに足を運ぶのは今回初めて。
左上に見えますのが、仕事部屋だったという、その小屋です
こちらが正面から見たその小屋です
表の小窓から中を覗くとこんな感じ。床に投げ捨てられた原稿や机の上のマグカップもそのまま残されている
実のところ少し前までこの人のことは全然知らなかったんだけど、この小屋と簡単なプロフィールを見たら何かビビビときてしまって、その後とりあえず何冊か翻訳本を購入したものの、やっぱり翻訳だとニュアンスがアレでして。詩だと尚更ダメですね。代表作の一つである「子犬時代の芸術家の肖像」は未読なので、読んだらまた報告します。

ともあれ、この小屋から数百メートル離れたところにある、かつて彼とその家族の自宅であったボートハウスがミュージアムになっています。

いまだに詩人の息づかいが聞こえてきそうな雰囲気(実際、彼の有名なラジオ劇「Under Milk Wood」の自身による朗読が延々と流れていて、その独特な発声が呪文のように耳に入ってくる)で、窓から射し込む日差しとか、言葉を失うほどきれいなタフ川の眺めとか、もう、彼がここに居を構えようと思った理由が言わずもがな理解できてしまうようなピースフルな空間。本人によるラーンに住み着いてしまった理由というか経緯を綴った一文も飾ってあった。それによれば、彼はある日この村に日帰りの予定でやって来たが、帰りのバスに乗るのを忘れてしまいそのまま居着いてしまった、とのこと。

何枚か写真を撮った後に「館内撮影禁止」の表示に気づいたので、律儀に写真は控えますが、一枚ぐらいならいいだろうってことで、デスク周りの写真を。

2階には多言語に翻訳された作品の数々(日本語版も数冊ありました)や、著名人をはじめとするさまざまな人との書簡(彼は生涯、本当に数多くの手紙を書いたらしい)、当時ウェールズのローカル新聞に掲載された死亡記事(アメリカ朗読ツアーで訪れたニューヨークにて39歳の若さで急逝)などが展示されている。彼の生涯を伝える約20分の古いドキュメンタリー映像も興味深く見ました。

正直、言葉の壁もあり、今のところまだ作品自体に何か強く心を動かされたり(朗読にはやはり何か感じるものがありましたが)その重要性を認識したりとかは全然していないんだけど、ジョン(ベン父)も「昔は全然ピンとこなかったんだけど、ある時から突然ググッときたんだ」と言っていたので、私もそんな日が来るのかも(または来ないのかも)などと思いつつ、今後もぼちぼち彼の作品を読み進めていこうと思っています。

そういえば入口に続く庭先に、オヤジの洗濯物のようなものが干してあって、個人のものなのか展示なのかイマイチわからなかったんだけど、ま、おそらく展示よね。なんにせよいい感じだったので激写。
ももひきは万国共通の防寒対策ですね
それにしても、前回ラーンを訪れた時もそうだったんだけど、今回もものすごく気持ちのいい天気で、なんだか非現実感が漂うほどでした。今回掲載した写真、もちろんすべて無修正ですが、ほんとにこんな色だったんです、空も緑も。

この町のランドマークでもあるラーン城
散歩中の犬も光をいっぱい浴びて幸せそうでした
ボートハウスを出るともう夕暮れが間近に迫っていました
最終日の夜は、ベンとポールとともに再びジョンの家を訪れ、モーリーンが用意してくれたディナーをご馳走になり、夜11時すぎまで飲んだり食べたりしました。そして翌日の昼すぎにPembrokeshireを発ち、夜7時頃、やっとロンドンの自宅に戻ってきました。

というわけで、長々と続いたクリスマスの想い出話もこれにて終了でございます。いやはやいやはや。

today's book:A Child's Christmas in Wales/Dylan Thomas
ウェールズに住むある少年のクリスマスの想い出を綴ったディラン・トマスによる児童小説。日本語版のタイトルは「ウェールズのクリスマスの想い出」です。あえて言えば(本当になんとなく、ですが)宮沢賢治と谷川俊太郎に町田康っぽさを加えたような感じかしら……(それってかなり最強か)。何はともあれ、ウェールズでクリスマスを体験した今これを読むと、やっぱりちょっとしみじみするものがありました。

2015年1月15日木曜日

ウェールズのクリスマスの想い出(その6)

このシリーズまだ続くのかい! と思われているかもしれませんが、あと2回ほどすいません。

26日のボクシングデー。午前中にベンのお父さん、ジョン側のファミリーの集いに顔を出して、また大勢の新しい親戚の方々に会い、ミンスパイとソーセージロールをご馳走になった。老若男女たくさん入り交じってワイワイ、誰が誰だか全員把握できなかったけど(ベンとポールも把握できてないらしい)これまた和やかでよいひとときでした。

午後、ベンの母方のおじいちゃんが一人でうちに訪ねてきた。コリンという、ベンの叔父さん一家と同居しているおじいちゃんはラトビア出身(つまりベンはラトビア人の血を引いているんですな)。ウェールズにある電力発電所でずっと働いてきて、若い頃は出張で香港とか日本にも行ったことがあり、よくその時の話をしてくれる。このおじいちゃんがまたユニークでおもろい。

車の運転が好きで、80歳を越えていると思われる今も自分の車を運転してるんだけど、少し前に駐車時の操作ミスで自宅の壁に激突、玄関先の外壁にドデカい穴、というか、めりこみを作ってしまった。その壁は今もまだそのままの状態で、アイタタタという感じなのだが、本人はちっとも懲りておらず、コリンと2人で一緒にうちに来る時も、おそらく自分で運転すると言ってきかないのだろう、それぞれ別の車で来たりするから笑える。こうしていつも「自分で運転する」と言い張り、みんなが必死で止めると本当に悲しそうな、泣きそうな顔をするんだよね(笑)。おじいちゃん本当に運転が好きなんだねえ、と思っていたら、実はそれだけではないらしい。なんとおじいちゃんは、いつまでもインディペンデントでありたいということらしいのだ。自分で運転して一人で街に出かけて買物したり、自由に行動したりしたいようなのだ。おじいちゃん、かっこいい。ちょっと感動して応援してあげたい気持ちになったけど、おじいちゃんの運転する車に乗りたいかどうかはまた別の話……。

そんなおじいちゃんは、挨拶のキス(頬にチュッてやつね)の時、真っ正面から「むわー!」と向かってくるので、私はいつも「ギャーッ!」と言ってしまう(笑)。おいしそうにビールを飲みながら、いろんな話をしてくれた。私のことも気遣って、日本がらみの話題も振ってくれる。可笑しかったのは「ラトビアが、日本の、ええっとなんだっけあの競技。あ、そうそうスモウ! スモウに勝ったって、この間テレビで見た」と言い出して、え?何の話?と思ってよくよく聞くと、どうやらロボット相撲の話。ロボット相撲の世界大会でラトビアが日本に勝ったんだとか(調べてみたら本当でした)。てゆーか、すげーマニアックなネタだなオイ(笑)。

翌日、そのおじいちゃんが同居しているコリンの家へ、クリス、ベン、ポールとともにクリスマスの挨拶に行く。ここんちがまた賑やかな家なんですわー。陽気な奥さんデビーをはじめ、その息子&娘のジェイミー、トム、エミリー(トム&エミリーは男女の双子)、そして犬3匹! イェイ!

左がスクービー、右がロキシー、手前がベンジー
トナカイのかぶり物でパーティー気分を盛り上げるベンジー
スーパーマンのコスプレを披露するベンジー
熱烈な「遊んで!」アピール
もうどれが犬でどれが人なんだか
さらにその翌日28日は夜、ベンの学生の時からの友だち夫妻と、その友だちの兄弟の一人(このお友だち、三つ子なのだ)がちょうど帰省中とのことで、地元のパブで落ち合って少し飲んでから、うちに来てみんなでご飯。ベンが日中の間に仕込んでおいたシェパーズパイを食べました(私も少しお手伝いしましたよ、ええ)。牛ひき肉を使った通常バージョンと、レンティルとスイートポテトを使ったベジバージョンの2種類。私はベジの方を食べたけど、とても美味しくできてました。

それにしても連日いろんなところへ出かけていろんな人に会い、予想以上に忙しいクリスマスになりました。しかも毎日山のように食べている……。食べ過ぎないようにとロンドンから持ってきていたキツめのジーンズをはいてみる勇気は、もはやなかった。

today's cassette: Gimme Holiday/Personnel
こちらも昨年Static Shock Weekendで見てすっかり虜に。元Shitty LimitsのメンバーとFrau/Good Throbのメンバーなどからなるポストパンク4ピース。7インチもかっこよかったけど、年末にリリースされたばかりのこのテープも良いです。 両面同じの5曲入り。

2015年1月11日日曜日

ウェールズのクリスマスの想い出(その5)

そしていよいよクリスマス当日。

クリスには前妻との間に娘が二人いるんだけど、彼女たちは今回こちらには来られなかったので、クリス、ベン、ポール、私の4人で過ごすクリスマスデーとなりました。

前日にクリスに何か手伝うことはないか聞くと「今回はターキーに詰め物はしないし、オーブンに入れて、後は野菜を用意するぐらいだから大丈夫」とのことだったんだけど、そのターキーをオーブンに入れる作業をするのが朝の7時だという。ひー。何だか申し訳ないので私も頑張って7時に起きようかと思ったけど、ベンに「クリスも、ターキーをオーブンにさえ入れちゃえばまたベッドで二度寝するかもしれないし、大丈夫だよ」と言われ、そうかぁ〜、なんつって、結局9時半ぐらいまで寝てしまった。

正午(ほんとにきっかり正午なのね)シャンパンで乾杯した後、お待ちかねのプレゼント開封〜。みんなでツリーが飾ってある部屋に集まり、1つずつプレゼントを開けていく。「おお〜」「あ〜」「ほほぅ」「へぇ〜」とそれぞれにいろんな反応をしながら、お互いにコメントを述べ合う。それを見ていると、こっちの人がクリスマス前に「プレゼントどうしよー」「あーメンドくさー」とか言ってるのを耳にするけど、なんだかんだ言ってもやっぱりみんなこの瞬間を楽しみにしてるんだろうなーと思う。私自身は、ファミリーメンバーそれぞれにプレゼントを用意するのは今回が初めてだったので、何をあげたらいいのやらと悩み、うーん毎年これは大変だなーとか思っていたんだけど、この「プレゼント開封タイム」を共有した後は、次回はもうちょい気の利いたものを見つけたいなあと思うに至りました、はい。

そろそろターキーもいい具合になってきた頃、クリスマスディナーの最終準備開始。ベンはターキーを食べないので、ヨークシャープディングにベジソーセージを入れたベジ版Toad in the Holeを作ります。他の人たちはソースを作ったり、野菜を準備したり。

ザ・男の厨房
途中でクリスがターキーをオーブンから取り出して、焼け具合と温度をチェック。この通り、どどーんと丸焼き。鳥肌がワイルド。
よしよし、順調ですぞ
スタッフィング(奥)と、チポラータ・ソーセージをベーコンで巻いた
その名もPigs in blanketsもオーブンにチャックイン
同時に、パンをミキサーで粉々にしたものをミルクとバターに混ぜ入れて溶かし、玉ねぎとクローブなどで風味をつけたブレッド・ソースを作る。ターキーにかけるソースの一つですが、コクのないホワイトソースみたいな感じで、うーん、何とも言えない味(笑)。英国人にとっては伝統的なソースということで、欠かせないのかもですな。

クリスが事前に仕込んでいた前菜、サーモンのテリーヌを切り分けて、テーブルにセット。これ、味がしっかりでとても美味しかった。食べごたえもかなりあって、これとパンとポテトぐらいで十分食事になっちゃいそうだった。
サーモンムースの中に見える緑の部分はインゲン豆
カリフラワー&チーズや、ローストポテトをはじめとするベジ類も次々にテーブルへ。


そうこうしているうちにターキーがこんがりと焼き上がりました。クリスが切り分けて、みんなの分をスライス。
「茶色い部分も欲しい?」と聞かれ、私は断って白い部分だけいただきましたが、
ポールはどっちも食べていた。後で試してみようかと思ったけど、満腹でムリでした……。
あとはテーブルの上に並んだベジ類などをそれぞれ好きなだけ取り分けて食卓につき、ワインで乾杯して、いただきま〜す。
これぞクリスマス・ロースト
ベンのベジローストはこんな感じ
ターキーはだいぶ昔に食べた時にあまり好きではなかった覚えがあったけどどうかなあ、と思いながら食べてみると……うーん、やっぱり独特のクセが気になりますな。でもちょうどいい焼き具合なのはわかった。グレイビーソース&クランベリーソースでいける。ボソッとした食感で、チキンと比べるとジューシーさにも欠けるので、どちらか選べと言われたら私は断然チキンだけど(第一、私はチキン、ポーク、ビーフ以外の肉は基本的に苦手)これはこれで好きという人がいるのもわかる気がする。

その他、ローストベジやらスタッフィングやら、すべて美味しかった。美味しかったんだけど、もう途中からお腹がパンパンになってきた。私はローストポテトが大好きで、ローストディナーの時はいつもたくさん食べちゃうんだけど、今回ばかりはもう2切れぐらいで十分。たかが野菜と思うなかれ、ローストベジって見た目以上にボリュームがあって、お腹が膨れるんだよね。ソース類もミルクやバターがたっぷり使われてるから、かなりリッチ。うおお。く、苦しい……。

最後はかなりスローダウンしながらも、どうにか平らげてフーッ。クリスマスクラッカーを鳴らし、中に入っているペーパーハットをみんなで被って、おまけに付いてくるおもちゃをそれぞれ披露し、またジョークとトリビアが書かれたメモをそれぞれ読み上げて、ハッハッハ(し〜ん)、と。これぞクリスマス〜。

と、ここで終わるわけもなく、続いてデザート。うう、もう入らん、と思いながらも、食べずにはいられない。クリスマスですもの。それじゃあ私はトライフルをいただきます、と言ってちょっとトイレに行っている間に、誰かが私のお皿にトライフルを山盛り盛ってくれていて、ひえーー。こんなに食えん。

しかし私は食べた。誰の挑戦でも受ける(by猪木)の精神で食べてしまった。最後は朦朧としてきたけど……もはやイーターズ・ハイ。
ベンはベンで、クリスマスプディングのカスタードがけをペロリと平らげていた
普段からワインにはこだわっているクリスが、前菜、メイン、そしてデザート用のワインまでしっかり用意してくれていたのだけれど、メインと一緒に供されたどっしりとした赤ワインをまだ飲み切れていなかった私たちは、デザートワインまで辿り着けませんでした。お腹いっぱいだとワインもますますどっしり感じるのね。最後はもう文字通り、息切れしました。食べ過ぎてぜーはーしちゃうって初体験かも。

午後3時半すぎに、予定通り、ジャンとクリスのお友達夫妻が幼い娘とともにやって来た。1時間ぐらい一緒に喋ったりしていたけれど、とにかくお腹がいっぱいで苦しい私は、ベンとポールとともに近所に散歩に出ることにした。あたりは暗くなり始めていたけれど、なぜかこの日はとても暖かく、風が全く吹いていなかった。雲が空に貼り付いているかのように完全に静止して浮かんでいて、まるで遠くにある一枚の絵を見ているかのようでした。

こんだけたっぷり食べたので、夜になっても全然お腹が空くことはなく、ローストディナーのパワーにただただ感服するのみであった。それでもクリスが作ってくれたクリスマスケーキを食べないわけにはいかねえ! というわけで、どりゃー!
たっぷりのドライフルーツとナッツでどっしり。マジパンとアイシングがめちゃ甘!
クリスマスケーキはかなり長期保存が可能(1年ぐらいもつとかいう噂)。クリスも1か月ぐらい前にこのケーキを作ったんだとか。しかしすごい! ほんとに。とっても美味しい〜、けど、この一切れでまた、満腹感200%まで一気に針が振り切れてしまいました。あうう。もうほんとに食えん。

この後(ってまだ夕方6時半ぐらい)はもう、ワインさえも飲まず、水だけで過ごしました。ほんとです。
夜、ジャンを偲んでキャンドルを灯しました
しかし「例年通りのスタンダードを保とう」と言ってジャンの穴をしっかり埋め、ここまで見事にクリスマスディナーを仕上げたクリスには、もう、ただただ感謝、感激でした。料理はもともと嫌いじゃないらしいけれど、ジャンと過ごしたこの10年ぐらいはほとんど彼女が担当していたとのことで、自ら腕を振るいまくったのは久しぶりだったんだとか。それにしてもクリスマスレシピ本を買い込み、入念に準備して、デザートまで数種類作っちゃうなんて、もう脱帽です。

しかし最後に「さて、これでだいたい作り方はわかったかな?(ニヤリ)」とクリスに言われ、ドキッ! あうう、タ、ターキー丸焼きはちょっと私には……(汗)でも野菜とかその他のいろいろは来年どうにか、ハイ、みたいな。まずはオーブンをはじめ、こっちの調理器具を使いこなせるようにならないとな……。料理はまあ一応しますが、作るより食べる方が好きな私には、いやその前に、ここまで完璧なクリスマスディナーを見せられた後では、プレッシャーがデカすぎるってばよー!

today's disc: Daddy Cool/Boney M
こちらも「クリスマス懐かしのヒット」的な番組で流れたディスコチューン。スキー場みたいなところでアフロの兄さんと毛皮をまとったねーさんたちが横並びで踊ってるだけなのに、なぜか目が離せないPV......。

2015年1月10日土曜日

ウェールズのクリスマスの想い出(その4)

日本だとクリスマス当日の25日より、24日のイブの方になぜか力を入れがちですが、こちらではイブは普通に地味に過ごして、翌日の本番に備え食事も簡素に済ませたりします。クリスマス当日は家族で過ごすのが基本で、ほとんどの人がこの日のために里帰り。日本のお正月と一緒ですね。

クリスマスイブの朝、ジョン(義父)に招かれて、車で20分ぐらいのところにある、その名もPleasant Valleyという地に位置するジョンの家へ。ジョンのパートナーのモーリーンが、手づくりのソーセージロールとミンスパイを振る舞ってくれました(この「ソーセージロールとミンスパイでもてなす」というのも、古くからのクリスマスの風習の一つらしい)。ベンが「他に誰が来るの?」と聞くと「さぁねぇ。適当に声をかけたけど、みんな来るのかどうか。わはは」とお気楽な回答。

と話していた矢先に、とある一家がやって来た。ジョンの長年の友人である牧場主の夫妻で、地元でアイスクリーム・ブランドを立ち上げ、今や冷凍食品から調味料まで手広く手がけるUpton Farmを経営しているディック&マギーと、その次男坊のハリー。この一家がまためっちゃ気さくでいい人たちなんだよね。みんな話し上手でありながら聞き上手でもあり、全然分け隔てなくて、懐の深さを感じるような。リラックスしてるんだけど、勢いがあるような。話していて楽しいのと同時に、安心するような。

「わーーー! なになに!? ひっさしぶりーーー!なんだよ来てたのーー?」と、ハリーがベンとポールに声をかけた。子どもの頃よく一緒に遊んだ幼なじみで、10年ぶりの再会だったらしい。ハリーは両親の仕事を手伝っているうちに、何やらニュータイプのアイスクリーム商品!? を開発したらしく、今はイベントなどで独自に出張販売をしてるんだとか。仕事でかどうかわからないけど海外にもけっこう足を運んでいるみたいだったし、フットワークも軽そう。

みんなでテーブルを囲んでソーセージロールやミンスパイをつまみながら、それぞれに昔話や近況報告をし合う。私の向かいでは何やらジョンが昔の武勇伝(だか笑い話)を語っている様子で、それをハリーがにこにこと相づちを打ちながら聞いている。ひと通り聞き終わった後、隣に座っていた私にぼそっと「ジョンのこの車の話、聞いたことある?」と一言。私が「ううん、ないと思う」と言うと「そっか、面白いから今度ちゃんと聞いてみて。僕はもう何度も聞いてるんだけど、何度聞いても面白いんだよね。毎回微妙にちょっと違うんだよ。登場人物が増えてたりとか、新しい場面が加わったりとか(笑)。でもそれがまた面白くていいんだよねえ」

あれ? 前にテレビで伊集院光が爆笑問題(*1)の太田の話について、全く同じことを言ってたなあ。あはは、視点が同じ(ジョンの話はもはや落語の域なのか!? )。そしてなんかこう、愛にあふれてる。ツッコミの愛だわ。そう思っただけでもう、私はすっかりハリーが好きになってしまいました(笑)。

そんなこんなで2時間ほどでおいとま。ジョンとモーリーンは夜、モーリーン側のファミリーと自宅でディナーらしく、モーリーンがせっせと料理している。ファミリーメンバーが多いと(または人生の中で出会いや別れの回数が多いと)、連日のように誰かに会ったり誰かを訪ねたりしなくちゃならなくて、クリスマスは大忙しです。
ジョンとモーリーンがしばしシッター中、イタリアに里帰りしているモーリーンの
娘夫婦の犬、ラフティ。お年寄りだけど、猟犬だけに強くて賢いのだった
私たちはそのままその足でウォーキングに出かけた後、夕方家に戻ってきて、ベンの翌日のためのベジタリアン・グレイビーソースづくりのお手伝い。夜はみんなでクリスが用意してくれたベジタリアン・チリを食べ、1963年のホラー映画「The Haunting」を見て、ワインを飲んで寝ました。なかなか充実のイブでした。

(*1) 爆笑問題のことを思い出してふとネットで検索しているうちに、田中さんのウィキページをなにか夢中で読んでしまった。興味のある方はこちらでどうぞ(笑)。

today's disc: Groove It Out/LoneLady
昨年秋ぐらいからBBC radio6でもかかりまくっている、これまたどこか懐かしい感じのダンスチューン。キッチンで洗い物してる時によく流れてきます。

2015年1月7日水曜日

ウェールズのクリスマスの想い出(その3)

12月23日、毎度ポールの運転する車で、クリスマス前の最後のお買い物へ。まずは行きつけのホワイトさんちのパン屋さんに、パンを買いに行く。うちではもうパンはここでしか買わん! というぐらい贔屓にしている、地元のパン屋さんです。

ロンドンでもアルティザン・ブレッドなどと呼ばれるいわゆるこだわりのパンは、オーガニックショップなどでよく売られていて、それなりに美味しいんだけど、このホワイトさんちのパンはそういうのとはちょっと違って、昔ながらの製法でつくられた素朴なパン(わかりやすいイメージで言うと「ハイジのパン」みたいな)。なんてことはないただの白いパンなのに、食べると「お、おいし〜! やっぱ違う!」と実感する、匠の品なのでございます。

ホワイトさんが毎日、夜明け前に起きて一人でイチから全部やっているようなお店。今どきの便利なマシーンを使って手間を短縮、とかいうことも一切していないらしく、それだけに他にはない味わいを生み出している一方、跡を継げる人がいないという問題も。「今は三代目だけど、このままじゃいずれ閉店だよ、なんて残念なんだ……」クリスがこう嘆くのを、本当に何度聞いたことか。私はパンの美味しさは食卓でいただいて知っていたけれど、実際にお店に足を運んだのはこれが初めてでした。

道路に看板は出ているけれど、知らなければ辿り着けない場所に、そのパン屋はあった。というかまあ、田舎なのでみんな知ってるんだろうけど。
外から見ると普通のおうち

中に入ると、すでに数人が行列していた。壁に先代の写真などが貼られているなか、常連客の一人らしき人がホワイトさんの偉業を讃えて詠んだ詩が。


「大量生産のこの時代にせっせと昔ながらの製法を貫き、昔ながらの美味しさを届けるホワイトさんのパンは、行列の価値あり。みんないつまでもあなたのパンを買い続けることでしょう。やめたら泣いちゃうから」というような内容(ざっくりですいません。原文はもちろんもっと風情があります)。愛されてますね〜。

接客まで一人でこなすホワイトさん
クリスが予約していたいつものパンを受け取り、ついでにベンが店頭に並んでいた美味しそうないちごジャムたっぷりのタルトを、今食べる用に購入。
手づくりいちごジャムタルト。うま〜
ベンとポールは以前にも足を運んでいるだけに、ホワイトさんとも顔見知り。「クリスマスで帰ってきたのかい? お母さんのことは残念だったねぇ本当に……」と声をかけてくれて、その話し方が何かとても優しく温かく、それを横で聞いていた私が何だかホロリとしてしまうというお約束の展開に。ああホワイトさん。

次に、こちらも予約済みのターキーをピックアップしに牧場へ。販売所から次々と、大きいビニール袋を手にした人たちが出てくる。よく見たら、みんなターキーを受け取りにきた人たち。うわー。ビニール袋にドサッと入ってるターキーを次から次へと見るの、ちょ、ちょっと怖い。一羽丸ごとってやっぱり強烈。私は肉は食べるけど、塊肉とか野性味あふれる肉肉しい料理とかに興味がある方ではないので、見た目に圧倒されてしまう。しかし毎年いったい何羽ぐらい売れるのかな……。お値段は£45(8000円ちょいぐらい)でした。どわわ。

最後に向かったのは、Pembroke Dockの街。この日は私が天ぷらそばを振る舞う予定で、その食材をはじめ、ベンとポールはお父さん用に最後のクリスマスプレゼント探し。


家に帰ると、クリスがなんとミンスパイを作っていた。すごすぎるクリス! (そのマメさも器用さも尊敬しちゃう)。あ、ちなみにミンスパイとは典型的なクリスマスのお菓子の一つ。詳しくは手軽なところでウィキをご覧ください。

生地さくさくでミンスミートも程よい甘さ。おいし〜
こちらでクリスマスに食べるお菓子というと、このほかにクリスマス・プディング、クリスマス・ケーキ(簡単に言うとクリスマス・プディングの表面にアイシングを加えたようなもの。このアイシングが砂糖とマジパンの塊でめっちゃ甘い)、トライフルなんかがあります。この中で個人的に最も飽きずに食べられるのがこのミンスパイ(他のはほんと甘いし重たいので1シーズンに1回が限度……)。しかもこれをオーブンでちょっと温めて、ダブルクリームをかけて食べるとウマい! ロンドンでもクリスマス前から毎日のようにこれ、食べてました。

夜は予定どおり、天ぷら揚げたるで〜! というわけで、頑張りました。天ぷらに向く日本の野菜はなかなか手に入りにくいので、コルジェ(ズッキーニ風のウリ科の野菜)やペッパー(パプリカ)、ポートベロー・マッシュルーム、アスパラガス、カリフラワー、じゃがいもなどで代用。葉付きのにんじんが家にあったので、にんじん&その葉っぱと玉ねぎのかき揚げも。パースニップやナスもいいなと思ったけど、これらはベンが苦手なので今回はなし。あとはタラとエビですかね。

しかし天ぷらなんて、軽く10年以上やってない(一人暮らしだとなかなかね……)。しかもクリスは日本に来た時、うちの母が揚げた天ぷらを気に入り、以来「あの天ぷらは最高だった」としきりに言い、私に無言のプレッシャーをかけ続けてきたのでした。そんなわけで心配だったけど、なんとこの家には揚げ物用のフライヤーという便利なものがあって、温度調節でしくじる心配もなく、お蔭さまで大・成・功でした。ふぅー。

today's music:Sammy Davis Jr.
BBCの特番でサミー・デイヴィスJrのドキュメンタリーをやっていて、みんなで見た。改めてすごいわー。全身これ才能の塊。歌もタップダンスも喋りもパフォーマンスもすごいけど、このビデオでは凄腕ドラミングに釘付け。わー。

2015年1月6日火曜日

ウェールズのクリスマスの想い出(その2)

ウェールズのPembrokeshireは、昔9ヵ月ほど住んでいたDevonにも雰囲気が似ていて、あっちこっちにナショナル・トラスト認定の景勝地が点在しているようなところです。そんなわけで天気がいいとつい「ちょっと歩きにでも行く?」ってことになる。今回も合間をみて何度かウォーキングに出かけました。

おうちの周りを歩くだけでも結構いい眺めが楽しめるんだけど、日中、時間がある時は車でちょっと遠出するのが常。といってもベンは運転できないし、私も英国の免許に変更していないので(その前に英国はほとんどマニュアル車なので、免許取得以来ほとんどオートマしか運転してない私に今すぐギアの操作はムリじゃ)運転するのはポール。いつもありがとうポール。

というわけで、今回訪れたのは以下の2ヵ所。

Bosherston Lily Ponds
その昔、大金持ちの私有地であったらしいStackpoleという豪邸跡地に車を停めて、ここからウォーキングをスタート。18世紀にここに建てられた豪邸は相続税の問題(要は相続人が莫大な税金を払えなくなってしまったんですな)で1963年に取り壊されてしまったらしいんだけど、そのおうちってよっぽど大きかったんだろうなあと実感させられる敷地の広さ。そこから池(といっても川のように細長い)沿いを延々歩く。


途中、平原を抜けて、Pembrokeshireを初めて訪ねた時にベンのお母さんが連れて行ってくれたBroadhavenというビーチへ。ここがまたちょっと隠れ家的な雰囲気のあるいい感じのビーチでして。犬とか連れてたらきっともっと楽しいに違いない。

この日は風が強めだったので、寒い中サーファーの姿もちらほら
このビーチで折り返して、帰りは別ルートを辿ろうとしていたのだけど、すでに夕方4時を回って薄暗くなっていたので、来た道と同じルートを辿ってスタート地点に戻りました。6〜7kmの道のりだったかと思うけど、帰りは早足だったので最後はもう汗だく。

Stack Rocks
その名の通りゴツゴツとした巨岩が点在する、海岸沿いの道なき道を、羊やら馬やらのフンをできる限り避けながら(といっても多すぎて、もはやすべては避けきれず)歩く。この場所は「Elegug Stacks」との別名もあり、Elegugとは古代ノルウェー語でウミバト(guillemot)という意味だそうで、昔から本土最大のウミバトの繁殖コロニーだったことからそう呼ばれているもよう……という話は後から知ったので、ウォーキングの際にはウミバトのことなど気にも留めず、向かい風を受けて「さみ〜!」とか言いながら、絶景続きのコーストウォークを楽しみました。




対岸に白くぽつぽつ見えるのは、草を食む羊たちでございます
のどかな風景が続く一方で、この周辺は軍用地にもなっていて、すぐ近くに英国軍の訓練基地も広がっているので、時々「このあたりの設備にさわらないでください。命の危険に及ぶ場合があります(英語ではもっとダイレクトに「It might kill you」って書いてあったけど)」などと書かれた看板が立っていたりして、何か気が抜けない感じ。ウェールズはやはり手つかずの広大な土地が多いからか、ここ以外にも軍用地として使われている場所がいくつかあるようです。

帰りの車の中から、ものすごーーーーーくきれいな夕陽を見ました。写真に撮りたかったけど、バッテリー切れで撮れなかったのが残念。遥か彼方まで広がる田園風景がぱあぁーっとオレンジ色に染まっていて、一瞬どこにいるのかわからなくなるような、ちょっとしたトリッピィな気分を味わいました。夕陽もまんまるで大きくて、とろけそうだった。寒かったけど、とても気持ちのいい一日でした。

today's disc: My Coo Ca Choo/Alvin Stardust
テレビで「懐かしの英国ヒットナンバー」みたいな番組をやっていて、何気にみんなで見ていたら、これが流れて思わず釘付け。バックバンドとのアンバランス感もハンパなくて逆にバランス取れてる笑。