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2018年11月15日木曜日

英国バスルーム改装事情

なぜか日々、追われているような気分でビュンビュン過ぎてゆき、あっという間にもう11月半ば。何度かブログを書こうと、書きたいこともちょこちょこあって、書こうとしたのですが、なぜかこれも果たせず。いったい私は何にそんなに追われてるんだろうと思うんだけど、なんなんだろ。仕事のせいかな。多分そうだな。でもそれだけじゃないんだよな。人生に追われてる感じがしてならん。

何はともあれ日本に帰国した5月から、夏をすっ飛ばして秋、それも晩秋になってしまいましたが、とりあえず最近の出来事から振り返ってみることにします。

その最近の出来事とは、自宅のバスルーム全面改装です。

現在住んでいるフラットは、いわゆるセミデタッチのタイプで、私たちも含めて全4世帯が入居しています。英国の住居は、ストリートから見ると同じ造りの家がずらっと立ち並んでいるように見えますが、ドアの向こうはかなり違う構造になっていることがよくあります。壁を隔てたうちの隣の家も、少し前までは中にたくさん部屋があって学生っぽい人たちが住んでいたようでしたが、ある時、突然住人を全員追い出して改装工事を始め(英国ではこのようにオーナーの意思決定次第で突然フラットを追い出されることがよくあります)、一年がかりの工事を経て、おサレな感じのフラットに様変わりしました。現在はおそらく私たちのフラットと同じような構造(34世帯が入居)だと思います。このように、外枠はそのままで(といってももちろん外装のメンテナンスは多少しますが)内部を改造するというのはよくあるパターンのようです。

私たちが住むフラットの建物も古い(1890年ぐらいの建物らしい)のですが、中に入っている4世帯の住居はそれぞれ個別に改装されており、造りも設備も異なります。めちゃめちゃ寒かった昨年冬になぜか我が家だけ水道管が凍って、数日間シャワーもトイレも使えなくなった際に、1階のフラットAにバスルームを借りるためお邪魔したのですが、うなぎの寝床のような構造で、コンパクトなうちのフラットとは全然違うし、バスルームもとても広く素敵な造りで羨ましい限りでした。うちと同じく2階にあるフラットCは外からちらっと覗き見したことしかないのですが、以前のオーナーが建築家だったこともあり、広々としていてアーティスティックな造りになっている模様。フラットDは半地下で、おそらく4世帯の中では最小スペースかと思いますが、代わりに裏庭が付いています。うち(フラットB)はおそらくフラットDよりは広さがありますが、裏庭はなし。裏庭がないのはうちだけなので、夏場はちょっと残念な気分になります。うちも庭があったら、昼間から庭でビール飲んだり、バーベキューしたりできるのになあ。

ベンいわく、我が家は以前の住人がおそらく90年代〜2000年前後ぐらいに少々改築しているとのことですが、造りがアバウトな箇所がところどころに見られます。また、どのフラットでもそうですが、窓枠を定期的に取り替えたり塗装し直したりしないと木が朽ちてきてしまうので、うちもこの夏にまず少々ヤバいことになっていたリビングルームの窓枠を業者に頼んで差し替えてもらい、全体を塗り直してもらいました。全体的に古いのでパッと見ではあまり気づかない部分だったりしますが、放っておくと腐って大変なことになってしまうらしいので、早いうちにメンテした方がいいらしいのです。

そして肝心のバスルームですが、トイレとバスが一体になっていて狭いにもかかわらず、無駄な部分が多い。壁に備え付けられたボックス棚や、トイレのシスターン(タンク)を覆っているカバーにチープなベニヤ素材が使われていて、これがまたカビやすい。タイルの溝もしつこいカビで黒くなっているうえ、壁や天井にヒビが入っていたり、ハゲてきたりしている。そして何よりも、小さい木枠の窓が、朽ち果ててきていてひどい状態になっている、といった具合でした。

特にこのボロボロに朽ちた窓枠、ベンが最初に入居した2011年の時点ではさほど問題はなかったはずとのことですが、私自身は2013年に初めて住んで以来、もうずっとボロかったような記憶しかありません。しかし実は2年半前に猫を飼い始めてから、バスルームに猫を入れないようにするためにドアを完全に締め切っているので、風通しがますます悪くなって湿気がこもりやすく、カビも発生しやすくなってしまったという事実があります。朽ち果てた窓枠は、その結果としての姿でもあるのでした。

そんなわけで満を持してこの秋、バスルーム全面改装プロジェクトにいよいよ着手することになったのです。

といってももちろん私たちが自分で工事できるわけではないので、まずは業者探し。オンラインで見つけて何人かに見積もりに来てもらいましたが、最終的にフラットDに住むザビアからのクチコミで聞いたラスランというビルダー(建築屋)さんにお願いすることにしました。クチコミの安心感もありましたが、とってもフレンドリーで感じがよく、頼もしい雰囲気だったのと、実はフラットCのバスルームも手がけていたことが判明したのも決め手でした。ちなみにこちらでビルダーやプラマー(配管工)といえば、まずポーランド人というイメージです。イギリス人よりも低賃金でよく働くから需要が多いのでしょう。ラスランはポーランド人ではないようでしたが、東欧出身であることは確かでした。

一番ひどい窓部分は窓専門の業者に頼まなくてはならなかったため、ここだけ先に別業者によって改装が行われました。その時はコックニー訛りの大柄なイギリス人が二人やって来て、ずーっと大声で世間話や身の上話をしながら作業していましたが、工事時間は半日ぐらいで、あんなにボロかった窓が見違えるほどキレイになり、換気も随分よくなって感動。全体の改装がますます待ち遠しくなるばかりでした。


窓だけ改装済みで、その他は工事前のバスルームの一部。
(ボロボロの窓枠を撮っておけばよかった!)
写真だとわかりにくいかもですが、壁のところどころがひび割れ、剥げかかっています
そしてその全体の改装は9月の最終週から2週間の予定で工事が入ることになったのですが、問題は、工事期間中トイレはかろうじてOKだけどシャワーが一切使えなくなるということでした。こんな時、日本だったら銭湯という素晴らしい施設がありますが、こちらはそうはいかず、シャワーを浴びられる場所といえばジムかプールしかありません。なので私は、最寄りのプールに通うしかないかな、久しぶりに泳ぐのもいいし、と思っていたのですが、公共プールのシャワーって共同シャワーであることが多いうえ、あまり清潔とは言えないことが多い。そこで、スイミングにも興味なければ普段からシャワーが長くて意外と潔癖なベンが「うちからなんとか通える範囲で料金もそこそこリーズナブルでシャワーに関する利用者のクチコミがそんなに悪くないジムを見つけた」と言うので、週末に二人で様子を窺いに行くことにしました。

そのジムとはOld Streetにある「Ironmonger Row Baths」という、おそらくジムよりもスパで知られている施設です。1931年に公共浴場として開設された建物を再利用しているため、当時の名残と見られる造りが館内に残っています。現在はBetterというレジャーサービス系の会社が運営していて、会員になるとロンドン市内に数カ所ある同様の系列施設が使い放題になります。
 
昔ながらの「Baths」の看板が目印
最初はジムとプールだけのプランでいいかなと思っていたのですが、スパを覗かせてもらったら、ハンマーム(いわゆるトルコ風呂、ターキッシュバス。簡単に言うと蒸し風呂)やサウナ、リラクセーションルームのほか、シャワーも完全個室でボディソープも備わっているし、バスローブやタオル、ビーサンも支給されるとのことで、もうこの際ちょっと料金上乗せしちゃうか〜と、オトナ買いみたいな感じで思い切ってスパ付きプランにしちゃいました(スパといってもジャクジーとかはないです。ハンマーム&サウナがメインです。マッサージなどの施術は別料金であります)。でもこれで正解だったと思います。なぜかというと、プールの後、ロッカールームの共同シャワーだけじゃ寒くてぜんっぜんムリだったからです。その点、ハンマームとサウナにどっぷり浸かって汗をかくとかなりすっきりして体もポカポカに。普段どれだけ体が冷えているのか実感することしきり。ちなみにベンはサウナも好きじゃないので、まともなシャワーとリラクセーションルームでの読書のために追加料金払ってたようなものでした。スパは一日だけの利用も可能のようですが、高くつくので、頻繁に通うなら会員になったほうが断然お得。ただ会員は月単位なので、経済的にもロケーション的(うちから片道で40分ぐらいかかるし、用事がなければ行く場所ではない)にもムリがある私たちは、とりあえず工事開始直前から会員になって1ヶ月で解約するという目論見でした。

こうして工事開始とともに、一日おきに電車に乗ってジムへ通うという、毎日の生活にハリがでるような、しかしめんどくさいような日々が始まりました。ビルダーさんは毎朝8時前には来てしまうので、私たちも普段より早起き。ベンは仕事の後、夕方からしかジムには行けませんが、私は早い時は朝8時半には家を出て仕事の前にひと汗かくという、シティのビジネスマンのようなことをしたり。といっても午前中のプールはご老人が多いんですけどね。

肝心の工事のほうは、ラスランは現場監督に徹していて時々顔を出しに来る程度で、実際の作業は別の人が一人で行っていました(名前を聞いたけど発音が難しくて忘れてしまいました。仮にAさんとします)。中年ベテランビルダーと見られるこのA さん、月〜土の朝8時から4時半ごろまでガッツリ働き、仕事をジャンジャカこなして日々着々と成果を出す素晴らしさなのですが、英語がほとんどわかりません。もう一人、解体作業と塗装を担当する若い男性Bさんも何日か作業しに来て、彼も英語をあまり話せない様子でしたが、何度かやりとりするうちにこなれてきて、問題はありませんでした。

一方Aさんの英語力はうちの父親レベルで、ハローとかグッモーニンとかサンキューなどの簡単な言葉はわかるのですが、朝、ハワユー?と声をかけてもムッツリ無表情で反応なしだし(でも日本でもよく知らない人や初めて会った人に「お元気ですか?」とか「調子どうですか?」とか聞かれたら「は?」という感じになるかと思うので、もしかしたら彼の母国もこういうことは聞かない文化で、何を聞かれているのかよくわからんという感じだったのかもと後で思いました)、例えばこちらが「ちょっと出かけてきます」とか言うと、もうチンプンカンプンです。しかしそんな時のためのグーグル翻訳というわけで、会話が難しい時は彼のケータイを使って筆談です。

でもそうやってやりとりしているうちに、Aさんがモルドバ出身で、コーヒーの好みはブラックで砂糖2杯、そしてボイラーの様子を確認するためにリビングルームに入ってきた際にタムタムとラミーを見かけて「オォ〜XXX!」(母国語で「ねこ!」と言ったのだと思います)と言ってナデナデしようとしたことから、猫好きであることも判明しました笑。

それにしてもAさんもBさんも、おそらくロンドンに住んでいるのではなくて、母国から出稼ぎに来ているのではないかと思いました。ロンドンに住んでいたら、たとえ普段、自国のコミュニティとしかほとんど接しないとしても、もう少し英語ができると思うのです。ラスランは間違いなくロンドン在住だと思いますが、もしかしたら彼らと同郷かもしれません。英語が堪能でオーガナイズ力があり人あたりもいい組長ラスランが、ロンドンでひと旗上げるべく故郷からメンバーを派遣しているような感じでしょうか。何はともあれいい仕事をしてくれたし、同じく海外在住の身としても応援したいですけどね。

あ、それから、こちらでバスルームを改装する際の大きなポイントは、工事は業者に頼めるとしても、マテリアル(バスタブからトイレ、タイル、キャビネットなど何から何まで)はすべて自分たちで揃えなくてはならない、ということです。ある意味、デザイン設計を自分たちでやらなくてはならないので、私たちもまず週末に一度バスルームのショールームに行き、現物を見て料金を比較することから始めたわけですが、これ、結構悩みます。もちろん不明点などは業者に聞けばアドバイスしてくれるし、資材を買い揃えるにあたってお店も紹介してくれたりしますが、例えばどこにどのタイルを使うかの判断とか、壁や床の長さや面積を測ってタイルが何枚必要か計算して注文するのもこちらの仕事です。うちの場合、とにかくシンプルで掃除しやすいのが一番というベンの意向に沿って、最終的にモノトーンのミニマリスティックなデザインとなりましたが、それでもタイルの色や大きさ、ちょっとしたデザインの違いなどで随分イメージも変わると思うと、やはりちょっと慎重になりますよね。

しかもこれらの購入資材が届いたら、工事で各素材が必要になるまで自宅のどこかに置いておかなければならないわけで、仕方なく私の持ち物がすべて置いてあって普段仕事場にしているスペアルームを資材置き場にすることにしました。このスペアルーム、夜間は猫たちの寝場所にもなっているのですが、さすがに割れ物がたくさん積まれたダンボール箱だらけの部屋を猫たちに開放するわけにもいかないので、工事期間中は彼らをリビングルームの外へは出さないようにしました。猫たちも最初はナニゴト⁉️といった感じで落ち着かず、リビングのドアが開くたびに身をかがめて向こうを窺い、隙あらば脱出という構えを見せていましたが、やがて工事の騒音や人の出入りの音などに慣れてきて「ニンゲンたちがまたなんかやり始めたけどしゃーねーなーちょっとがまんしてやるか」てな感じで、あきらめて大人しくしてくれてました。

しかしそんなこんなで室内は日々散らかり放題、夜間はタムタムによる連夜の睡眠妨害、週末問わず毎朝の早起き、シャワーのためのジム通いなど、非日常パターンの連続に加えて、そういう時に限って案の定仕事も忙しかったりで疲れる疲れる。が、一日の終わりに工事の進み具合を見るのが毎日の楽しみではありました。


装飾を全部外してタイルを剥がしたらこんなホラーな有様に

DIYスペース建設の際に防音のための緩衝材を施す
作業をしたことを思い出しました

壁の状態がよくなかったため、急遽全面補強することに
大昔の花柄の壁紙のようなものが出てきた!


タイル貼りが始まってからはあっというまでした。
バスタブ側とトイレ側で微妙に異なるタイルを使用しました

一方リビングルームでは、ちょうどこの日、
窓掃除がやって来て、タムタムが釘付けに
スペアルームのデスクで仕事している時は一度も膝の上に座ったことなんかないのに、
リビングのダイニングで仕事していたらなぜか膝の上に乗っかってきたタムタム
 
グラウティングが済むと、タイルの白さが際立ってぐんと明るくなりました。
シャワーとスクリーンも設置され、
やっと家でシャワーを浴びられるようになった2週間後の週末 

その後、天井やドアの塗装までしてもらって、
すっかりキレイになりました〜

工事はほぼすべて予定どおり順調に進んだのですが、一つだけ問題がありました。 壁に設置する予定だったガラスの棚が、いざ設置する段階になって箱を開けてみたら割れていたのです……。お店のウェブサイトを見ると、配達による破損などの場合は商品到着後48時間以内に報告のない限りは返金不可となっていてダブルショック。すでに10日以上経過していたからです。大量の資材が一気に届いたため、中身をすべて確認しなかったのはこちらのミスですが、それにしてもガックシ。£65ほどドブに捨てたみたいな(泣)。でもこういうことってよくあるんじゃないかと思うんですよね。あの状態でいちいち全部の箱を確認なんてできないよ〜。お店ももう少し時間に余裕持たせてくれてもいいのに。

翌日には工事が完了する予定だったので、これから注文しても契約期間にも間に合わないし、後で自分たちでどうにかするしかないかと思っていたら、親切にもラスランから「来週からまた別のプロジェクトでこの近所で仕事してるから、新しい棚が届いたら言ってくれればサービスで設置しに来てあげるよ」との寛大なオファー。ありがたい〜。しかもバスルームのデザインが具現化した今となっては、棚の設置プランも少々変更したくなり、結局、他のお店から別の棚を購入して設置位置も変更しました。なので結果的にはよかったかもしれん。そうだそうに違いない。

その後、ラスラン組はその近所のプロジェクトで忙しかったようで、棚が設置されるまでそれから数週間待つことになりましたが、約束どおり、空いている時間を縫ってラスラン本人がある日再びやって来て、パパッと設置してくれました。これでバスルーム全面改装100%完了! めでたしめでたし。ハウスウォーミングパーティならず、バスルームウォーミングパーティ(バスタブでシャンパンとかね)でも催したいところですけども、とりあえずはこのクリーンな状態をできるだけ長く持続できるよう、きれいに使っていきたいと思います(いつも週末、ベンがめっちゃ気合い入れて掃除しています。いつもありがとうベン)。

あ、そういえばもう一つ誤算が。さてジムを解約しようとしたら、すでに10月の解約有効日を過ぎていて、11月いっぱいまでは会員料を支払わなければならないことが判明、、、というわけで今月も元を取るべく、精一杯ジム&サウナ通いしています。

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