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2015年12月30日水曜日

イベントの秋(冬)・後半

秋どころかもう年末になってしまいましたが、乗りかかった船、書きかけたブログ、というわけで「イベントの秋・前半」に続く後半です。

11月は、やはり毎年恒例のStatic Shock Weekendからスタート。今年も連日気になるラインナップだったけど、他の予定との兼ね合いもあり、とりあえず木曜と金曜の2日だけ行くことにしました。以前、時々手伝いに行ったり募金ライブをしたりして微力ながらサポートしていたDIY Space for London(DSFL)がついに9月にオープンし、その後、オープンデーやコレクティブ・ミーティングなどで何度か足を運んではいたものの、まだライブは見ていなかったので、私にとっては今回のStatic Shock WeekendがDSFLでの初ライブ鑑賞でした。

DSFL自体、Static Shock Records周辺の人たちも多く関わっているだけあって、ウィークエンダー初日の木曜にしてソールドアウトの大盛況ぶり。そうそう、ここにはTome Recordsというレコード屋も併設されていて(聞くところによればかつてFlashback Recordsで働いていたらしい、Primitive Partsのメンバーの一人がやっているお店)、ここがまた小さいながらも新旧入り交じりのグッド・セレクション(ランダムではなくて選んでるな〜というのがわかるセレクション)なうえに、料金設定もとてもリーズナブルで良心的なので、行くたびについ立ち寄っては買物をしてしまうんですな。委託もOKで、私も日本から持ち帰ってきたThe DeathとLIPUPSのスプリットテープを持ち込んでみたところあっさり承諾してくれて、しかも仲介料とかも全然取ってない様子。なんという寛大なレコード屋なんでしょう。

さて肝心のライブは最初のバンドを見逃しちゃったけど、イタリアのSang、スペインはマヨルカ島のTrance(ラモーンズをさらにモサくした感じのオールドスクールパンクでGoodでした)などの後、楽しみにしていたLove Triangle。さすがかっこよかった。ベンが近くにいた人の会話を盗み聞きしたところ、ベーシストが急に出演できなくなったそうで代理の人だったらしく、しかもこの日の朝に初めて合わせたんだとか笑。それにしてはすごいバッチシで、全然そんなこと感じさせなかった。

しかしこのギターリストで元Shitty Limitsの彼、Good ThrobやPersonnel、Noなどいろんなカッコいいバンドでやってますが、この後しばらくしてスペインに引っ越しちゃったそうで、とりあえず彼が関わっているほとんどのバンドが休止または解散になってしまうらしいという話。個人的に全部好きなバンドなのでかなり残念ですが……。

さて、この日の最後はSauna Youthでした。ずいぶん前に見た時は違う編成だったけど、この日のセットでは女性ボーカルになっていて、Monotony(Sauna Youthが全く同じメンバーでやっている別のバンド)の曲もやったりしていた。いいセットだったけど、正直なところSauna Youthはいま一つビビビとこないんですよね私……なぜだろう、ちょっと私にはアート寄りすぎな感じがするのかもしれません。

ウィークエンダー2日目となる翌金曜は、やや広めのヴェニュー、Tufnell ParkのDomeにて。この日はハードコアがメインのラインナップ。私はGood Throbが目当てだったけど、Perspex Fleshや、前日に出たTranceのメンバーがやっているOrden Mundial、トリを務めたLAのBlazing Eyeもよかった。
Perspex Flesh
Orden Mundial
Good Throbは相変わらずカッコよかった。特にこの日は音がよかったような。
こちらはトリのBlazing Eye。

どのバンドも曲が短めなので、この日は予定より早く22時半すぎぐらいに終わっちゃいました笑。まあ、この後「深夜の部」が別のヴェニューであったんだけど、これには行きませんでした。なので今年の私のStatic Shock Weekendはこの2日間で終わり。実は翌日土曜に見たいバンドが多数出演していて行きたかったんだけど、友達のナッチョが同じ日に、地元スペインから来ていた彼の友人バンドのライブを主催していて、残念だけど両方に足は運べそうになかったので、Static Shock Weekendの方は諦めたのでした。

でもそのスペインから来ていたナッチョの友達バンドFuturo Terror、カッコよかったです。日本でも好きな人多いんじゃないかなあ。「XXXが好きな人には絶対おすすめ」って言いたいんだけど、今ちょっとその「XXX」がパッと思い浮かばなくて(でも絶対似てる感じのバンドがいくつかあるんだけど…だーーーごめんなさい、今ぱっと出てこない)、速くてストレートなパンクが好きな人ならまず間違いないはず(すいません大ざっぱで笑)。とりあえず以下を見ていただけるとおおよそわかるかと。
Futuro Terror
ドラマーがかなり速くていいドラミングをしていたんだけど、後で聞いたら彼は今回、代理だったそうで、いわく「正規のドラマーは自分よりさらに速い」んだそう。えー!どんだけ〜!(ってこれもう死語ですか?)

このFururo Terrorの音源のほか、スペインの最近のガレージパンクやポストパンク系などのいいバンドをリリースしているdiscos humeantesというレーベルが、実はこのたび終焉を迎えてしまうそうで(オーナーとしては、レーベルがだんだん大きくなってきて、なんとなく商業的になってきたのを嫌っているようで、このへんで閉めるか、という結論に至ったらしい。ある意味潔いですね…)それは残念なのですが、Bandcampに関連バンドのコンピレーションをアップしていて、ダウンロードも可能なので、興味のある方はぜひ。日本ではほとんど知られていないけど、絶対に好きな人いっぱいいそうな音源(しかもバラエティに富んでる)がたくさん見つかりますYo!

続いて翌週末、急遽決まったSheer Mag追加マチネ公演 in DSFLへ。数週間前のライブは売り切れ、Static Shock WeekendはFuturo Terrorとカブったため見逃していた私にはうれしい限り。しかしSheer Mag、何か最近意外なまでに人気でびっくり。7インチを聴いたところ、とにかくヴォーカルが素晴らしいけど、音はまあ、言ってみれば昔ながらのロックサウンド。ベンなんか「よくある70sロックの焼き直しじゃないか」と言って全然興味なし。でも私はどうしてもちょっと気になるというか、惹かれる部分があって、一度は見てみたいと思い、この機会に足を運んでみました。

で、実際ライブを見たら、期待どおり良かった。でも個人的な印象はやっぱり80%はヴォーカルの魅力という感じだったかなあ。もちろんバンドサウンドもとても良いのですが、しかし何より彼女の声がすごい。正直ヴォーカルが平凡だったら、ここまで引きつけられないような気がするんだよね。完全に余談ですが、ライブ前に物販の脇に座っていたヴォーカルの彼女の足をうっかり踏んでしまったので謝ったら、すごく可愛いというか優しい笑顔を返してくれて、いい人なのがすぐわかりました。



そしてこの日は、SSWで見逃したEfialtis、そしてこれが最後のライブとなるNoを目当てに、夜も再びDSFLへ赴きました。Efialtisはギリシャ出身の女子3ピースバンド(ドラムはGood ThrobやDregsなど複数のバンドをやっているブライオニー)で、1年ぐらい前、おそらく結成当時に一度だけ見て以来でしたが、なんというか、より一層味が出ていてよかったです。
Efialtis
そしてNoのライブを見るのは今回が最初で最後だったんだけど、Black Flagを彷彿させるものがありました。ビックリしたのは、このバンドでものすごいワイルドなベースを弾いていたベーシストが、PAMsも何度か一緒にライブをしたことがあるGloss Rejectionというバンドのギターリストの人だったということ。まあ全然違うタイプの音楽だということもあるけれど、見ていて全く気づかないほど全然違ったので新鮮な驚きでした。
この日はほかにSnobやArms Raceなども出演、なかなか見応えのあるパンク&ハードコア・ナイトでした。

続いて翌週月曜、Cafe OtoにNecksを見に行きました。Necksは、えーと、アヴァンギャルド・エクスペリメンタル・ジャズとでもいうのかな? 私はこの手の音楽は普段、受け身でしか聴いていないのですが、ベンは前にも彼らのライブを見たことがあり、寝る前とかに時々レコードをかけていていい感じだったので、私も一度ライブを見に行ってみることにしました。今回はロンドン・ジャズフェスティバルの一環で、Cafe Otoで3日間連続のレジデンシー・ショーが満員御礼。ライブ自体は即興のインストゥルメンタルで、効果音の連続のようでもあり、1曲が長いので、私にはちょっと「大人っぽすぎ」な感じだったけど、時々、一体この音はどこから出てきてるのかな?という音が流れてきたり、楽器なのか工具なのか、はたまた大人のオモチャか何か!?(笑)と思うようなものを演奏に取り入れたりしていて(特にドラマーのノイズメーキングが面白かった)見ていて興味深かったです。私が普段、好んで聴いている音楽は、概して聴いていて自分を忘れるというか、どっかに連れていかれる感じのものが多いけど、今回はどちらかというと、聴いていて自分の内面にどんどん入って行くような音楽でした。
Necks
2日後の水曜は、Beat Happning、 KレコーズでおなじみのCalvin Johnsonのソロアクトを見にロンドン北西部のキルバーンへ。かつて北ロンドンに住んでいた頃、今はなきLuminaireというヴェニューにライブを見に行くために当時は時々キルバーンに足を運んでいたけれど、この数年はまったくのご無沙汰でした。今回はThe Tin Tabernacleという聞いたこともないヴェニューで、しかも開始時間が早く、前座も1つだけ。で、ヴェニューはその名のとおり、トタンで覆われた古いチャペル。1863年に建てられたそうで、英国の重要建造物リストのグレードⅡに登録されているという代物。北ロンドンのSea Cadets(海洋少年団)の本拠地でもあるらしく、建物内には関連品があちこちに置かれている。「子どもの頃に通った場所を思い出すような……建物の中の匂いも懐かしい感じ」とベン。日本でいうと、かつて別の用途で使われていた建物を公民館とか児童館として利用しているような感じの場所かと。バーはないので、代わりに主催のUpset the Rhythmの人たちが、瓶ビールとワインを用意しておいてくれてたのも、雰囲気に合っていてよかったです。
みんな早くから来て席を確保
建物内を眺めてるだけでも面白い
肝心のCalvin Johnsonはサイコーでした。私は初めてこの彼のソロアクトを見たんだけど、とにかく独特のちょっと芝居がかったパフォーマンスから目が離せず、思わずニンマリしっぱなし。しかもなんかこう、一曲一曲が愛に溢れてるんだよね!! コミカルともいえるパフォーマンスとともに、真っ直ぐ目を見て「アイラブユー、アイニージュー」と安っぽくなることなく歌えるのは彼しかいない!と思う半面、あの堂々とした雰囲気の中に時々ちらっと覗くシャイな眼差しがカワユイ笑。つまりは、ものすごくチャーミングなお人柄が滲み出てるんですなー。見終わってとてもハッピーな気分になったライブでした。
Every woman is beautiful♫っていう曲がじーんと染みました
さて週末はまた DSFLへ。Gloss Rejectionがこの日で解散だったのですが、今まで見た中で一番いいライブだったなあ。以前はそこまでピンときてなかったんだけど、今回のライブを見て音源を家で聴いたら何かすごくしっくりきて、これで終わってしまったのがとても残念でした。

そうこうしているうちにあっという間に12月……あれやこれやとほんとに多忙でした。で、見に行ったのは、The Nation of UlyssesやChain and The Gangで知られるIan Svenoniusのソロアクト。チケットがすぐ売り切れになって、もう1日追加されるほどの人気ぶりだったのも驚きでしたが、ベンが大ファンなのでチケットをソッコー取っており、1日目に見に行きました。いやーしかしこれ楽しかったわ。前座のOlivia Newtron-john のインパクトもすごかったけど(あのダンスは本当に必要なのか疑問だがw)Ianのオーディエンスを巻き込む濃ゆいソロがたまらずよかった。ベンは、ライブが始まる前に物販テーブルに彼の著書があるのを見つけてすぐに購入。ちょうどサウンドチェックを終えた彼がバーエリアをうろうろしていて、とてもフレンドリーな雰囲気でニコニコしていたので(彼の形相からするとニコニコというよりニタニタという感じだけどw)せっかくだから話しかけてサインしてもらえば!? と言ったんだけど「尊敬している人に話しかけるのは苦手だからいい」と言って、最後まで結局話しかけず……w 
私に言わせれば彼はDIYパンク・バージョンのプリンス笑


そして今年最後のロンドンでのライブ鑑賞は12月19日(土)、イーストロンドンのハックニーにあるヴェニュー、Osloに見に行ったJeffrey Lewis&Los Bolts。Jeffrey Lewisを見るのはそれこそ2013年にブライトンで見た&Peter Stampfelの素晴らしかったショー以来。いつもアイデア満載で毎回異なるセットを披露することで有名なJeff Lewis、今回はまた別名儀でどんなショーになるのかと楽しみにしてました。しかしこのOsloっていうヴェニューが全然好きじゃなかったのに加え、前座バンドもイマイチ、その上この日はこの後、クラブナイトが予定されていたようで、なんと21時半までには撤収しなくてはならないという状況で、なにかJeff本人もオーディエンスの私たちもいまひとつ乗り切れない部分があったような。ライブ自体は全然非の打ち所なしだったんだけど。 ジェフが自身のコミックスをスクリーンに映し出して披露するお馴染みのマンガ・タイムは相変わらず楽しかったし、ベーシストの女の子もすごくよかったし。やっぱ場の雰囲気かなあ。次回をまた楽しみにしたいと思います。

そして実は、今まで何度もいいライブを見に行き、PAMsも何度かライブしたりしてお世話になったイーストロンドンはDalstonのヴェニュー、Power Lunchesがこの12月で閉店してしまうことになり、この日にファイナル・パーティーが開催されていたので、この後そのままその足でPower Lunchesに向かいました。収容人数100人のところに、フェイスブックのイベントページでは800人が「参加する」と言っていたとのことで、一体どうなるのやら!? と思ってたけど、どうにか収まってました笑。おなじみの顔ぶれがみんな集まっていて、ライブあり、DJありで、この4年間、ロンドンのDIYシーンを支えてきた貴重なヴェニューの最期を惜しみました。

思えば私の初Power Lunches体験は、2011年、おそらくオープンして間もない頃に、ベンと一緒に見に行ったアメリカのReal Numbersのライブでした。Hipshakesのほか、HipshakesとBlack Time、City Yelpsのメンバーがやっていた(たぶん)1回限りのスピンオフ的なバンドCrawling Ageと、私はイマイチ覚えてなかったんだけど(たぶん見逃したのかな)当時まだ無名だった(笑)Sauna Youthが一緒にやっていた。すごくいいライブで楽しかったのを覚えています。あれからはや4年……うーん。今ロンドンではこのぐらいのキャパの、無名のDIYバンドでも気軽にライブができるようなヴェニューがほとんどなくなってきていて、淋しいのはもちろんのこと、私たちにとっては危機的状況です。そのうえ最近、身近の好きだったバンドが立て続けに解散したり、活動的なミュージシャンがロンドンを離れたりしていて、来年は一体どうなっちゃうんだろうか!? と思わずにはいられないのでした。
お世話になったPower Lunchesの悪名高きトイレ
■today's disc: Motorhead / Motorhead
レミーさんの訃報に接し、今日は一日モーターヘッドを聴いています。合掌。

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